第3回|待ち方とツモ確率の関係|リャンメンとタンキ、どちらが引ける?

麻雀の確率で読み解くシリーズ

はじめに:待ちが多いほどアガりやすい、は本当?

「待ちが多い方がアガりやすい」は、麻雀の基本。
でも実際、どれくらい確率が違うのか、数字で見たことはありますか?
この記事では、待ち枚数とツモ確率の関係を、理論値と実戦感覚の両方から整理してみましょう。


1. 待ち枚数とは?

待ち枚数とは、テンパイしたときにアガり牌が山に何枚残っているかを表す数値です。

たとえば、リーチ待ちが 八萬 単騎なら「1枚待ち」、
六萬九萬 の両面なら「8枚待ち(各4枚)」になります。

一般的な待ちの種類と待ち枚数の目安は以下の通りです。

待ち形残り枚数(理論値)
単騎待ち八萬単騎1〜4枚
辺張(ペンチャン)待ち一二待ち(三待ち)4枚
両面(リャンメン)待ち六七待ち(五八)8枚
シャンポン待ち八萬・九萬対子待ち6〜8枚
ノベタン・カンチャンなど形による3〜8枚

2. 理論上のツモ確率(残り山からの単発確率)

まず、純粋な確率から見てみましょう。
残り山にある牌の中から、次のツモでアガる確率は:

(残りのアガり牌枚数) ÷ (残り山の総枚数)

と計算できます。

例えば、山に60枚残っていて、アガり牌が3枚なら:

3 ÷ 60 = 5%

この計算を元に、待ち枚数別の「1回ツモあたりアガり確率」をまとめるとこうなります。

残り山60枚時点のツモ確率

待ち枚数1回ツモ確率感覚的な目安
1枚待ち約1.7%ほぼ引けないがゼロではない
2枚待ち約3.3%稀に当たるレベル
3枚待ち約5.0%感覚的に「ちょっとありそう」
4枚待ち約6.7%一般的な両面の片側
6枚待ち約10%強い待ち。数巡あれば十分チャンス
8枚待ち約13%理想形。数巡あればアガり率大

待ち枚数が増えるほど、単純にツモ確率は線形に上がるように見えます。
しかし実際には、ツモ回数他家の手の進行が関係してきます。


3. ツモ回数を考慮した「和了率」

リーチ後にアガる確率は、ツモるチャンスの数(=局の残り巡目)によって大きく変わります。
例えば残り8巡(=自分のツモ8回)あるとき、1回ごとの成功率5%(3枚待ち)なら:

アガる確率 = 1 − (1 − 0.05)8 ≒ 34%

つまり、「1回で5%」でも、8回の試行で約1/3は当たる計算です。

残り巡目別のアガり確率(概算)

待ち枚数残り巡目5(5ツモ)残り巡目8(8ツモ)残り巡目10(10ツモ)
1枚待ち約8%約13%約16%
3枚待ち約23%約34%約40%
6枚待ち約39%約53%約60%
8枚待ち約47%約61%約68%

ここから分かるのは:

  • 待ちが倍になると、アガる確率もほぼ倍近くになる
  • ただし、巡目が進むほど他家の和了・放銃リスクも増える

つまり、「広い待ち」は時間的余裕をも生む、ということですね。


4. 実戦での「体感差」

実際に打っていると、体感では次のような差があります。

待ち枚数体感実際の印象
1枚待ち「一発ツモしかない…」実際に引けるのは10〜15%ほど
3枚待ち「なんとかなるかも」約3割前後の和了率
6〜8枚待ち「安心感がある」半分以上はアガれる確率

つまり、「6枚待ち」は倍どころか体感的には“安心倍増”なんです。
この感覚を数字で裏付けられると、押し引き判断が安定します。


5. まとめ:広い待ちはアガり率だけでなく、時間も買う

  • 待ち枚数が増えるとツモ確率はほぼ比例して上がる
  • ツモ回数(巡目)を考慮すると、最終的なアガ率はさらに差が開く
  • 6〜8枚待ちは「半分以上アガれる」実戦的な強待ち
  • 1〜2枚待ちは「押し引き要注意」。ツモれなくても納得の場面

数字で見ると、普段の「なんとなく広い方がいい」が確かな理屈として整理できます。


次回予告

次回は「リーチ後の和了率と放銃率」。
押すか、降りるか。リーチに踏み切る判断を、確率で支える視点を紹介します。